岸田内閣は「経済対策」の中に看護師や介護職などの賃上げについて盛り込むとしていますが、報道では「新型コロナウイルスに対応する医療機関に勤務する看護師を対象に来年 2 月から 9 月の賃金について月額4000円引き上げ、その後段階的に 3%程度までの引き上げを目指すとの事、介護職や保育士、幼稚園教諭、障害者福祉事業所の職員に関しては、全員の賃金を月 9000 円(月収の 3%程度)引き上げる」としています。
岸田首相は、「看護師や介護職、保育士ら、公的に価格が決まる業界で働く人の処遇改善を進め、民間企業の賃上げの機運醸成につなげたい考えだ。」としていますが、根本的な問題の解決になっていないと考えます。
私たちは、今回の政府案では、「コロナ対応の看護師だけ月額 4 千円」では、現場に分断と混乱を持ち込みことが大きな問題になると考えます。また、職種ではなく仕事の種類と期間限定であることで、看護師という職種全体の賃上げにはつながらないになります。
介護職についても、月額 9 千円程度では、「無いよりはまし」程度の賃上げであり、所定内賃金が全産業平均より 7 万円以上少ない賃金水準を解消しなければ、安定した介護従事者の確保にはつながりません。
岸田首相は総選挙前に、「看護師や介護職などの賃金水準を引き上げる必要がある」と言明していましたが、今回のような愚策でお茶を濁そうとしているとしか考えられず決して許してはいけないと考えます。「医療崩壊」が現実となった今、私たちは、医療や介護の提供体制を拡充する必要性と、そのための人員増は、待ったなしの課題であり、政治の責任だとより強く感じています。医療・介護現場のひっ迫を緩和するには働き続けられる条件がどうしても必要であり、そのためにも抜本的な処遇改善計画を策定することを要求します。